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クルマにおけるディストリビューターとは?

ディストリビューター(ふりがな: でぃすとりびゅーたー、英語: Distributor、仏語: Distributeur)は、エンジン内で点火プラグに適切なタイミングで電気を分配する装置です。エンジンが動作するためには、燃焼室内で混合気に火花を飛ばして点火する必要がありますが、このタイミングを管理するのがディストリビューターの役割です。特に昔のクルマでは、エンジンの点火システムに欠かせない部品でした。

ディストリビューターの基本的な仕組み

ディストリビューターは、エンジンの回転に合わせて回転し、点火プラグに電気を送るタイミングを調整します。エンジンの回転が上がると、点火タイミングも速くなり、低速時や高速時でも正確に火花を飛ばすことができるのがディストリビューターの働きです。

ディストリビューターは、ローターと呼ばれる回転パーツが内部にあり、このローターが各シリンダーに適切な順番で電気を送ります。ローターはディストリビューターキャップと接触しながら回転し、キャップ内の電極を通じて電流を点火プラグに送り、エンジン内の燃料に点火します。このようにして、エンジンの各シリンダーが適切な順番で燃焼を行うことが可能となります。

ディストリビューターの歴史とその進化

ディストリビューターは、内燃機関の初期から使用されていました。19世紀後半から20世紀初頭にかけてのエンジンは、点火のタイミングを正確に合わせるために機械的な方法が必要でした。そのため、メカニカルディストリビューターが発展し、特に車両が高速化するにつれて、より精密なタイミングが求められるようになりました。

20世紀半ばには、ディストリビューターはさらに進化し、電子制御の導入により、より正確で効率的な点火システムが実現しました。しかし、1990年代以降、ディストリビューターに代わり、電子点火システムが普及し始めました。これにより、ディストリビューターは一部の車両では使用されなくなりましたが、クラシックカーや古い車では今でも重要な役割を果たしています。

現在のディストリビューターの使われ方

現在、ほとんどの新しい車両には、ディストリビューターが搭載されていません。代わりに、ディストリビューターレスの点火システムコイルオンプラグ(COP)と呼ばれる技術が普及しています。これらのシステムでは、ディストリビューターの代わりにエンジン制御ユニット(ECU)が点火タイミングを管理し、各点火プラグに直接電気を送ります。

1. クラシックカーや旧型車での使用

ディストリビューターは、クラシックカーや旧型車で今でも使用されています。これらの車では、オリジナルのディストリビューターを維持し、手動でタイミングを調整することが一般的です。クラシックカーのオーナーにとって、ディストリビューターのメンテナンスは重要な作業の一つです。

2. 電子点火システムの進化

ディストリビューターの役割は、電子点火システムに引き継がれました。現代の車では、より精密なタイミングと効率的な燃焼が求められ、エンジン制御ユニットが点火のタイミングを管理します。これにより、燃費が向上し、エミッションの削減にも貢献しています。

ディストリビューターの未来と技術的進化

ディストリビューターそのものは、新しい車両で使用されることは少なくなりましたが、その技術は電子点火システムエンジン制御技術に進化しており、より精密で効率的な燃焼制御が可能になっています。これにより、排出ガスの削減やエンジンパフォーマンスの向上が実現しています。

また、クラシックカーやレストアカーにおいては、ディストリビューターのレトロフィット改良部品が開発され続けており、現代の技術を取り入れながらオリジナルのスタイルを維持することが可能になっています。こうした技術革新により、ディストリビューターはエンジンの象徴的なパーツとして、その魅力を持ち続けています。

結論として、ディストリビューターは過去の車両で重要な役割を果たしてきたコンポーネントであり、現在は電子制御技術に進化しています。クラシックカーの愛好家にとっては、ディストリビューターは今でも重要な存在であり、現代の技術と融合しながらその価値を保ち続けています。



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